【手取り減る?】ボーナスの給与化で損する人・得する人をFPが解説|社会保険料・年金も比較
ズバリ結論:ボーナスの給与化は「手取りが減る」ように見えて、家計の安定・年金・資産形成ではプラスになる人も多い。制度に振り回されず、自分のライフスタイルに合った判断を!
賞与の給与化とは?背景と制度の狙い
この章では、「賞与の給与化」がなぜ進んでいるのかを解説します。
最近、大手企業を中心に「賞与(ボーナス)を月給に組み込む」制度が広がりつつあります。
たとえばソニーグループは2024年に冬の賞与を廃止し、その分を月給と夏の賞与に振り分ける「賞与の給与化」を導入しました。
背景には、人材の確保・給与の見える化・安定した雇用管理など、時代に合わせた狙いがあります。
給与化で手取りや税金はどう変わる?
この章では、賞与の給与化による「手取り・税・保険料」の変化を解説します。
所得税|年間課税所得が同じならほぼ変わらない
給与と賞与の合計額(年収)が同じであれば、年間の所得税額は基本的に変わりません。
ただし賞与は「特別税率」で源泉されていたため、給与化により毎月の税額が高く感じる可能性はあります。
住民税|前年の年収ベースで課税される
住民税も「前年の年収」に基づいて計算されるため、賞与の有無によって大きく変動することはありません。
社会保険料|給与化で“確実に”増える可能性がある
社会保険料は、「標準報酬月額」によって決定されます。
この金額は、毎年4・5・6月の月給の平均(=456ルール)で決まります。
※456ルール:4〜6月の給与の平均額をもとに、その年の9月から1年間の社会保険料が決定される制度。
給与アップの時期 | 保険料が上がるタイミング |
---|---|
4〜6月 | その年9月〜翌年8月 |
7月以降 | 翌年9月〜 |
▼具体例(年収500万円/賞与100万円を給与に統合)
項目 | 賞与あり | 給与化 |
---|---|---|
月給 | 33万円 | 41万円 |
賞与 | 100万円 | 0円 |
社会保険料 | 約69万円 | 約74万円 |
ポイント:
給与化で手取りが減ったと感じる主因は、社会保険料が「毎月しっかり」引かれるようになるからです。
給与化で年金はどう変わる?
給与化により「標準報酬月額」が上がると、将来の厚生年金受給額も微増する可能性があります。
短期的な手取りよりも、長期的な老後資金の備えとして価値を感じる人も多いはずです。
筆者も賞与で社会保険料がどう動くかを気にして給与明細を毎月見ています。
実際、5月は差額支給で手取りがガクッと変わり、FP目線でも驚きました。
賞与ありvs給与化|どっちが得?FPが徹底比較
この章では、賞与ありと給与化をメリット・デメリットで比較します。
賞与ありのメリット
- 手取りベースでは多く感じやすい
- 業績次第でドカンと増える可能性あり
- まとまった資金で投資・旅行などに使いやすい
賞与ありのデメリット
- 業績悪化時はゼロもあり得る
- 生活がボーナス頼みになると危険
給与化のメリット
- 収入が安定し、家計設計しやすい
- 月々の積立投資や教育費支出に向いている
- 年金の計算上も微増の可能性あり
給与化のデメリット
- 成果に応じた変動がなく、モチベーションに欠ける人も
- 毎月の保険料・税負担が重く感じる可能性
給与の話をしたら、次は家計全体の見直しも気になりますよね👇
転職先に賞与がない…どう備える?
最近は「賞与なし」の企業も増えており、月給が高い代わりにボーナスゼロというケースも。
その場合でも慌てず、生活費設計を月給ベースに切り替えることがポイントです。
転職前に「賞与込み年収」か「月給だけで生活できるか?」を必ず確認しましょう。
つみたてNISA・iDeCoとの相性は?
安定収入が得られる給与化は、毎月積立型の資産形成と相性バツグン。
毎月の手取りが安定していると、NISAやiDeCoなど非課税投資枠を有効活用しやすくなります。
まとめ|“空気の賞与”から自立する給与設計へ
「解雇はしないけど、ボーナスは空気で変える」──。
そんな昭和の賞与文化から、「安定して稼ぎ、自分で積み立てる」時代へ。
手取りだけを見ず、制度の本質を知って、自分に合った選択を。
賞与の給与化は、自立した資産形成を目指す人にとって、実は追い風かもしれません。
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