「貯めるより、使って生きろ」──そんな挑発的なタイトルで話題になった名著『DIE WITH ZERO(ダイ・ウィズ・ゼロ)』。
でも、育児や住宅費、教育資金に追われる現実の中で、この考え方を“そのまま”実践するのは危険です。
この記事では、実際に読んで感じた「刺さった部分」と「モヤッとした部分」を、
家計管理・子育て世代の視点から正直レビューします。
📘 『DIE WITH ZERO』とはどんな本?
著者は元ウォール街のトレーダー、ビル・パーキンス氏。
「死ぬ時にお金を残しても意味がない。経験に使って人生を豊かにせよ」というメッセージが全編を貫きます。
いわば「お金の本」ではなく、「生き方の本」。
投資や節約のハウツーではなく、“お金と時間のバランス哲学”を語っています。
名言:「人生の目的は、思い出を最大化すること。」
👍 良かったところ:心が動く3つのメッセージ
1. 「今しかできないこと」にお金を使え
年を取れば取るほど体力も気力も落ちる。
だからこそ「若いうちに経験に投資せよ」という考えは納得感があります。
子育て中の今だからこそ、
「家族旅行を“いつか”じゃなく“今年”行こう」──そう思える一節でした。
2. 「貯めること=安心」とは限らない
「お金は使ってこそ価値がある」。
節約に全振りしていた時期がある私には、ちょっと刺さる一言。
“人生の効用”という言葉を使って、
「お金を持つこと」と「お金を使うこと」を分けて考える重要性を教えてくれます。
3. 「ゼロで死ぬ」という逆算思考
「死ぬときに貯金が残っていたら、それは機会損失だ」。
この考え方は衝撃的。でも、人生を逆算して使うという発想は確かに合理的。
⚠️ 辛口評価:この本の落とし穴4選
1. 「十分貯め終わった人」向けの思想
本書は、すでに資産がある層が“どう使うか”を考える内容。
貯金ゼロ・教育費これから・妻が転職中──そんなリアル世代には正直、遠い。
「そもそも貯めるフェーズの人は、まず基盤を整えるべし」
──これが現実的な結論です。
2. 「実践の道筋」が薄い
使うべきとは言うけれど、いくら・いつ・どう管理すればいいかは書かれていません。
「今を生きろ」だけでは、家計は回りません。
例えば、家族旅行1回で10万円。貯蓄10万円。
それをどう配分するか?──本書はそこまで教えてくれません。
3. 長寿リスク・教育費リスクが軽視されている
日本で生きる私たちにとって、老後や介護、教育費は避けられません。
「ゼロで死ぬ」よりも「ゼロになる前に詰む」危険すらあります。
4. アメリカ文化ベースの価値観
著者はアメリカの富裕層。医療制度・社会保障・物価感覚が日本とは違います。
同じ価値観を日本の子育て世代に当てはめるのは無理があります。
💡 たいきパパ的・使い方のコツ
- 「経験にお金を使う」は賛成。でも“使いどころ”を選ぶ。
- 「旅行」よりも「家族の時間」を買う発想を。
- 「妻が早く帰れる仕事を選ぶ」=時間への投資。
- 「お金を使う」前に「家計の基礎」を整える。
つまり、本書の哲学をそのままではなく、「現実フィルター」を通して応用するのがコツです。
📚 読者へのおすすめと注意点
おすすめ: 家計にある程度余裕が出てきた30代後半~40代。
注意: まだ教育費・住宅費・転職などライフイベントが多い世代は「一部を経験投資に回す」くらいが現実的。
読後におすすめなのは、以下のような行動リスト。
- ①「人生でやりたいことリスト」を10個書き出す
- ② それぞれの予算とタイミングを見積もる
- ③ 家計シミュレーションに組み込む
- ④ 残りを長期投資・貯蓄に回す
💬 まとめ:「ゼロで死ぬ」より「満足して生きる」
この本の本質は「人生の残高=お金ではなく経験」だと思います。
ただしそれは、貯める力を持った人が初めて実践できる哲学。
家族を守りながら、お金と時間を使い切る。
そんな“ちょうどいいゼロ”を目指すのが、現実的な着地点かもしれません。
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