育児は広大な冒険譚!〜最初の祠(ほこら)クリアは始まりに過ぎない〜】
私は一人目の育休で2023年7月1日〜2024年4月の9ヶ月間、二人目の育休で2024年11月〜2025年4月の4ヶ月間を経験しました。その長い冒険の日々があったからこそ、今回の育児休業制度改正、特に子の出生後8週間以内に夫婦それぞれが14日以上の育休を取得した場合、合計28日分を上限として手取り収入がほぼ10割となる『出生後休業支援金』の創設には、どうしても引っかかるものを感じています。
まるで、どこからか悲痛な叫びが聞こえてくるようです。「リンク…!たった一ヶ月で、またハイラル城へ戻ってしまうの?厄災との本当の戦いは、これから始まるというのに…。私一人で、この子と、この先の試練に立ち向かわなくてはならないの…?リンク…、置いていかないで…」と。
この制度は、新米のリンク(パパ・ママ)が、まだ見ぬ広大なハイラル(育児の世界)を冒険するための、最初の心強い装備となることが期待されています。しかし、始まりの台地にある最初の祠(ほこら)をクリアしただけで、「ゼルダの伝説」の壮大な冒険が終わるわけではありません。
以前、育休を終えて職場に復帰した同僚が、こんな話をしていました。「いやあ、育休中は本当に睡眠不足がひどくてね。夜中に何度も起きておむつを替えたり、授乳したりで、体力がいくらあっても足りなかったよ…」と。
……ちょっと待ってください!それはまだハイラルのほんの一部分を探索したに過ぎません!この広大な世界には、「夜泣きの魔物」や「黄昏泣きの巨獣」といった、もっと手強い厄災が待ち受けているのです!
もし育児が「ゼルダの伝説」のような冒険譚だとすれば、今回の手厚い支援がある期間(最大28日間)は、まさに始まりの台地でのチュートリアル。基本的な操作を覚えただけで、ガノンを倒すなんて到底無理ですよね?
私自身の、一人目の9ヶ月、二人目の4ヶ月という冒険の日々を振り返ると、最初の28日間なんて、本当に序の口に過ぎませんでした。始まりの台地の次は、砂漠、雪山、火山といった、多様な環境と新たな謎解き、そして強敵との戦いが待ち受けているのです!

始まりの台地:最初の試練と、勇者の傷
新たな命の誕生は、勇者が目覚める始まりの台地。しかし、出産という大試練を終えたばかりの女性の体は、まるで厄災ガノンとの激闘で深手を負った勇者のように、大きなダメージを負っています。それは、ハイラルを吹き荒れる暴風に巻き込まれたような、あるいは強敵との激しい衝突のような、想像を絶する負担なのです。 まだ操作もおぼつかない中、「授乳」という最初の試練に挑み、「おむつ替え」という謎を解き明かしていきます。「安息の地(ベビーベッド)」で休息を取りながら、この世界の基本を学んでいきます。最初の祠「病院」をクリアし、いよいよ広大なハイラル「自宅」へと旅立ちますが、夜になると現れる「睡眠不足の瘴気」に苦しむ日々が始まります。深い傷を負った体には、休息と回復のための時間、そして周囲の温かいケアが何よりも必要なのです。

カカリコ村周辺:新たな仲間との出会いと試練、そして心の闇
ハイラルを旅する中で、勇者は様々な人々と出会います。最初の村周辺(生後3ヶ月頃)では、「夜泣きの魔物」や「黄昏泣きの巨獣」といった新たな厄災に遭遇し、知恵と勇気を試されます。「離乳食」という新たな料理のレシピを覚えようとしますが、なかなかうまくいかず、試行錯誤を繰り返します。しかし、産後の回復が十分でない体、終わりの見えない育児への不安、そしてホルモンバランスの乱れは、勇者の心に『憂鬱の瘴気』のような暗い影を落とすことがあります。それは、かつての戦いのトラウマのように、時折心を蝕む『産後うつ』と呼ばれる状態です。 周囲の理解とサポートがなければ、この心の闇は深く広がり、冒険を続けることさえ困難にしてしまうでしょう。
ハテノ村周辺〜各地の探索:ダンジョン攻略と能力の成長
さらに冒険を進める中で、勇者は「保育園」という重要な拠点に挑むことになります!まずは「情報収集」という望遠鏡で情報を集め、「見学」という名の探索に出かけます。村人(保育士さん)から話を聞き、施設の様子を調べます。「入所願書」という試練の証を提出し、「書類審査」という知恵比べに挑みます。しかし、人気の拠点には「倍率」という強力なバリアが張られており、「待機児童」という名の呪いにかかることも…。
【新たな脅威】冒険の妨げ:ルピー(育休給付金)の枯渇
勇者がハイラルを自由に冒険するためには、ルピー(お金)が不可欠です。しかし、育児休業給付金という冒険の資金は、なぜかすぐに手に入りません!ハイラル城(ハローワーク)からの支給は遅れがちで、2〜3ヶ月もの間、所持金が心もとない状態で旅を続けなければならないようなものです。「ベビー用品」という新たな装備を揃えたり、「ミルク」という回復アイテムを購入したりするにも、ルピーがなければ立ち往生してしまいます。まるで、新しい祠を見つけても、試練に挑むための勇気が湧いてこないようなものです。
その後の大地:果てしない冒険と能力の進化
ハイラル城を目指す旅は長く険しいものです。「イヤイヤ期の魔物」や「反抗期のガーディアン」など、さらに手強い厄災が次々と現れます。しかし、共に旅をするゼルダ姫のような大切な存在(子ども)も成長し、新たな力や知恵を身につけていきます。育児は、まさに終わりなき「ゼルダの伝説」なのです。
今回の制度への疑問と、より良い冒険のための提案
今回の育休制度における最初の 手厚い支援は、勇者が始まりの台地を探索するための頼もしいパラセールとなるでしょう。しかし、その後の広大なハイラルを自由に冒険するためには、もっと長期的なサポートが必要です。特に、深い傷を負った勇者の回復と、心の闇に立ち向かうための温かい光が、最初の段階でこそ必要不可欠なのです。
今回の制度では、手厚い支援が受けられる期間が限られているため、以下のような疑問を感じます。
- わずか28日間という期間で、出産による女性の体力の回復は十分と言えるのでしょうか。まるで、深手を負った勇者が、応急処置だけでは再び強敵に立ち向かえないように、産後の女性にはより長い時間をかけたケアが必要です。
- 育児の本格的な困難、例えば夜泣きや離乳食、そして保育園入園という重要な局面を迎える前に、手厚い支援が終わってしまうことは、その後の育児負担の偏りや、女性の社会復帰への不安に繋がらないでしょうか。まるで、装備も整わないまま、より手強いダンジョンに挑むようなものです。
- 経済的な支援は重要ですが、それと同時に、産後の女性のメンタルヘルスケアや、夫婦間の協力体制を築くためのサポートは十分と言えるのでしょうか。心の闇は、経済的な安定だけでは払拭できない場合もあります。
これらの疑問を踏まえ、より多くの勇者が安心して育児という壮大な冒険を続けられるために、以下のような具体的な提案をいたします。
- 産後ケアの充実: 短期的な経済支援だけでなく、産後の女性が心身ともに回復するための専門的なサポート(医療機関や地域の産後ケア施設の利用支援、家事・育児支援サービスの提供など)を強化する。まるで、傷ついた勇者が安心して休息し、回復魔法を受けられる環境を整えるように。
- パートナーシップの推進: 育休取得の推奨だけでなく、夫婦が協力して育児に取り組むための具体的なプログラムや情報提供を行う。育児に関する知識やスキルを夫婦で共有し、それぞれの役割分担や連携をサポートすることで、一方に負担が偏るのを防ぐ。まるで、リンクとゼルダ姫がそれぞれの能力を活かし、協力して厄災に立ち向かうように。
- 保育園入所支援の強化: 保育園に関する情報提供、見学のサポート、入所申請のアドバイスなど、会社や地域社会が連携して、スムーズな保育園入所を支援する体制を構築する。まるで、新たな冒険の地への安全な道筋を示すように。
- 育休給付金制度の見直し: 給付金の迅速な支給はもちろんのこと、育休期間の長さや、より長期的な育児休業を取得しやすい制度設計を検討する。最初の短い期間だけでなく、子どもの成長に合わせて柔軟に育休を取得できるような制度こそ、真の冒険を支える力となるでしょう。
- メンタルヘルスサポートの拡充: 産後うつなどの精神的な不調を早期に発見し、適切なケアを受けられる体制を整備する。相談窓口の設置や、専門家へのアクセスを容易にすることで、心の闇に苦しむ勇者を支える光となるように。
真の勇者は、始まりの地だけで満足しません。ハイラルを救うという壮大な使命を果たすために、知恵と勇気と仲間との絆を深めながら旅を続けるのです。育児という冒険もまた同じです。
まとめ:共に育児という名の「ゼルダの伝説」を冒険しよう
育児は、謎解きも難解、敵も手強い、長く壮大な冒険譚です。しかし、ゼルダ姫(子ども)の成長というかけがえのない輝き、そして家族というトライフォースのような強い絆という宝物を得ることができます。今回の制度改正を最初の 一歩として、社会全体で勇者たちの冒険を支え合い、共に困難を乗り越えていけるような、希望に満ちたハイラルを目指していきましょう。そして、傷ついた勇者が安心して休息し、再び立ち上がれるような、温かい光に満ちたハイラルを築いていきましょう。そして、リンクだけが急いでハイラル城に戻るのではなく、リンクとゼルダ姫がそれぞれのペースで、互いに支え合いながら育児という冒険を進み、共に社会という舞台へ戻っていくことが、より自然で望ましい姿ではないでしょうか。
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